約半数の大学生が、何も手につかないほどのひどいうつ症状を経験していて、10人に1人は自殺を真剣に考えたことがあり、大学生の死亡原因の第2位は自殺。
アメリカの大学生の話だ。
でも、日本の大学生、社会全体にも当てはまる話だと思う。
大学生の精神衛生問題に取り組むActive MindsというNPOを立ち上げたアリソン・メルモンが、22歳の兄、ブライアンを自殺で亡くしたのは彼女が大学1年生の年を締めくくろうとしていた2000年の3月のことだった。Active Mindsは、うつ病等の精神障害に対する偏見をなくし、大学生同士のこの問題に関する連帯を目指して活動をしている。
ブライアンはアイヴィー・リーグの名門コロンビア大学の学生で、大学では大学新聞の編集者、アカペラグループのリーダー、ミュージカルの俳優をつとめる明るくて活発な若者だった。
それだけに、ブライアンがうつ病等の精神障害に苦しみ始めた時、彼はそれを誰にも知られないようひた隠しにした。精神病にかかるのは恥ずかしいことだという思いを強く持っていた彼が家族や精神科医の助けを受けるようになったのは発症から3年たった後のことだった。そしてそれから1年半後ブライアンは自ら命を絶った。
妹のアリソンはそれから1年後、彼女が大学3年生の時にOpen Mindsという名前で最初のミーティングを母校ペンシルヴァニア大学で開いた。最初のミーティングに集まったのはたった3人だけだった。
現実に精神病はとても大きな問題で、多くの学生がこの問題を抱えているのに、精神病にかかるのは恥ずかしいことだという意識が強く、誰もこの問題を語ろうとしない。家族にも友人にも誰にも話せずに、一人で苦しんでいる学生がとても多い。
彼女はこの精神障害に対する偏見をなくし、うつ病等に苦しんでいる学生に一人で苦しまず、少しでも早く治療を受けるように勧め、彼女の兄に起こった様な悲劇を失くすことを目指して活動を続けている。
現在Active Mindsは全米27州に65の支部を持つ団体に成長し、3年以内に支部の数は300に増えるそうだ。最終的には全米全ての大学にActive Mindsがあるようにしたいという。
日本にはActive Mindsのようなサポートグループはあるのだろうか?
日本の大学生のうつ病罹患率をネットで検索したが有益な情報は見つからなかった。
これらについて何か知っている人がいたら是非教えて欲しい。
ウキペディアで「うつ病」と検索したら、「生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかる」という記述があった。誰でもうつ病にかかって当たり前だということだ。
いつも明るくて元気な人ほど、自分がうつ症状を持った時に、その事実を受け入れることができず、そして恥ずかしいという思いから周りにそのことを隠そうとし、無理をしてしまうのではないだろうか。
だけど、人間生きていれば嬉しいこともあれば、辛いこともある。むしろ、苦しみ、悲しみのほうが多かったりするのが人生だ。そして、生きることっていうのはその苦しみ、悲しみをそのまま受け入れることなんじゃないだろうか。そもそも仏教の教義の基本だって、「一切皆苦」だ。だからこそ、うつ病になって当たり前。喜びの山があれば、当然悲しみの谷だってある訳だ。それで、悲しみの谷にいる時に右も左も分からなくてそのまま深みにはまり、病気になることだってあるだろう。大事なことは、僕ら社会の一人一人がそれは当たり前のことで、自分にだっていつだって起こりうる事だと認めて、もし、家族、友人にその谷にいる人がいれば、そばにいって寄り添うことだろう。
アリソン・メルモンに関するニューヨークタイムズの記事です。
http://www.nytimes.com/2007/04/25/education/25face.html?ex=1179374400&en=1545674e907a0b97&ei=5070CNNでは動画も見れます。
http://edition.cnn.com/2007/US/05/15/pysk.malmon/index.htmlActive Mindsのホームページです。
http://www.activemindsoncampus.org/