2008年2月14日木曜日

給水停止予告書

いやいやいや。昨日の夜ついに水道を止められてしまった。
12時を回ってそろそろ寝ようかなと思い、その前に顔を洗って歯を磨こうと蛇口をひねると...何も出てこない...いつもより妙に軽い蛇口はからからと空回りするだけ。「まじかよぉ~っ!うそだろぉっ!」と思い台所の蛇口もひねってみる。こういう時はなかなか現実を受け入れられないものだ。人間て。しかしやはり軽快に回転する蛇口からは何も出てこない。
やっと現実を受け入れはじめ、やにわに机の上に乱雑に積み重なった本やらノートやらを引っ掻き回すと、封筒に入ったままの電気、ガス、水道の請求書が出てきた。水道の封筒を開けると、そこには赤字で「給水停止予告書兼支払書」と書かれた、なんだかせっぱ詰まった感のある請求書が出てきた。「これか!」と思い、あきらめた。

原因が分かるとすっきりするもので、あとはいなせに手ぬぐいを、いや違った、タオルを肩にかけ、石鹸を持って川を挟んだ向かいの公園へ向かった。寒風が心地よかった。星空を眺め、裸の桜並木を横目に橋を渡り水を求めて公園へ行くと、なんだかちょっとしたイベントの様で楽しかった。なんてまあ、のんきな事を言っていられるのも水道代を払いさえすれば明日にでもすぐに水が来ると確信しているからなのだが。本当に恵まれた世の中だと改めて思う。
公園に着き、顔を洗い始めると、ニジェールの暮らしやらが思い出され、なんだかちょっとしたキャンプ気分が味わえた。年末に友人が「正月キャンプしようぜ。でも寒いかな?」とか言っていたのを思い出しながら、「でもここにテント張って寝ても別にそんな寒くないな。結構いけそうじゃん。」とか一人で考えてしまった。
僕が以前働いていたあしなが育英会の連中は貧乏な学生時代、風呂のないぼろアパートで共同生活を送っていた時に、銭湯代も出せずに毎日公園の蛇口で頭と体を洗っていたらしい。ある日役所の人間が来て、「公園の水道はそういう使い方をするためにあるんじゃありません。すぐ止めてください。」と言われ、上半身裸で髪を洗いながら「いやっ、あと少しですすぎ終わるんで、ちょっと待っててくださいっ!」と最後までしっかり洗い続けたらしい。顔を洗いながらそんな話も思い出して一人笑ってしまった。
そう言えば、僕らも去年のゴールデンウィーク、島の人里はなれたプライベートビーチでキャンプを張っていたら翌朝役場の人が着て、ジープを回され、「そこはキャンプ禁止ですから。」と強制退去させられた。役場の人間はどこで目を光らせているか分からない、という教訓である。
ま、そんなくだらないことを考えながら家へ帰り「明日はちゃんと水道を払おう。ついでにガスも電気も電話も払ってしまおう。」と思った。

翌朝、って今朝だが、仕事に出かけようと外へ出ると一階の正面玄関にカレンダーの裏紙にでっかく書いた掲示が張ってあった。

「昨晩12時頃から午前3時頃まで原因不明の断水で皆様に大変ご迷惑をおかけいたしました。現在原因を究明中です。入居者の皆様に多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳なく思っております。今後このようなことが決しておこらないよう最善の努力をいたします。‐大家」

というような内容だった。
なるほどと思った。今までガスは止められたことはあるが水道はない。それに水道を止めるのは一番最後だと聞いていたので、「おかしいなぁ。ガスもまだ止められてないのに、早くないか?」と少し思っていたからだ。ま、それでもこの一件のおかげで今日は全ての請求書を払ってすっきりした。
ということで、今回の教訓は、
一、請求書は期限までにちゃんと払おう
一、たまの不便は悪くない
以上