2006年6月27日火曜日

一つだけ伝えたいこと

先日、僕が働いているあしなが育英会の同僚、長尾さんと飲みに行った時、長尾さんに聞かれました。
「川上さんが、一つだけ学生に伝えたいことって言ったら何ですか?」
僕は、
「やりたいことを妥協せずに本気でやって欲しい、ということですかね。」と答えました。

やりたいことを仕事にすることはきっととても厳しいことだ。でもだからこそ、その道を進まなければ。そうすれば、もう妥協はできない。やりたいことやって飯を食うなんてそんな甘い話はなかなかないからだ。自分から逃げず、妥協せず、自分を追い込み、努力をして、本物の仕事をしなければやりたいことやって飯なんか食えない。
そして本当にやりたいことを仕事にした時、その人は世の中のためになる仕事、誰かを幸せにする仕事を自然としているはずだ。本当にやりたいことを仕事にした時、人はその仕事に愛情を注ぐだろう。パン作りが好きで仕方がないパン職人が、おいしいパンを作ろうと愛情を持ってパンを作る時、できたパンはそれを食べる誰かをきっと幸せにする。パン職人が、おいしいパンを作ろう、もっとおいしいパンを作ろう、と試行錯誤を繰り返す時、そこには必ず、パンを食べる人への思い、「どんな人がこのパンを食べるんだろう。もっとおいしいパンをあの人に食べてもらいたい」っていう思いが自然に生まれるからだ。パンを食べる人への思いがなく、ただ単にパン作りを研究していくらパンを作ったって、本当においしいパン、本当に誰かを幸せにするパンなんかできっこない。

だから僕は、学生に一つだけ伝えたいこと、と聞かれたらこう答える。
「やりたいことを妥協せずに本気でやって欲しい。」

そしてそれはもちろん、僕自身に対する言葉でもある。

2006年6月23日金曜日

ありがとうございました


今日来てくださった皆さん。
本当にどうもありがとうございました。
たった今家に帰ってきました。
明日からまたお仕事です。
週末は淡路と神戸のほうへ出張で行ってまいります。
皆さんもよい週末をお過ごしください。

ありがとうございました。


6月22日 Spuma Setlist

1. firefly
2. Jingar
3. 雨上がりの空
4. あの頃の僕らは
5. 僕らの願い
6. おやすみサンドロ
7. タビダチノ唄
8. だから僕はギターを弾き歌わずにはいられない
9. 果てしない旅

2006年6月18日日曜日

Spuma 6月22日&7月20日

おなじみスプーマライブは6月22日と、7月20日です。

6月20日Tuesday Night 原宿駅前路上ライブ

もしよろしかったら通りがかってください。
かまします。
8時くらいからやるつもりでいます。

おやすみサンドロ

「おやすみサンドロ」

この歌は、ドキュメンタリー映画「Bus 174」を見てできた歌です。

2000年6月12日ブラジルのリオデジャネイロで、1台のバスが強盗に襲われた。
21歳の青年、サンドロ・ロサ・ド・ナシメントは10人の乗客を人質に取り、4時間にわたって警察と睨み合いを続けた。
彼は、人質をとった強盗が普通するように、人質の解放を条件に何かを要求する、ということはなく、警察に向かって、「お前ら今日はどうしたんだ!いつもの威勢はどうした!ほらいつものようにやれよ!撃ってこいよ!皆殺しにするんじゃないのか!?カンデラリアにも俺はいたぜ!イヴォンヌに聞いてみろ!」と叫び続けていた。

「カンデラリアの虐殺」
カンデラリアというのはリオデジャネイロの中心部にある教会で、たくさんのストリートチルドレンがここを根城にして暮らしていた。
1993年7月23日夜、カンデラリア教会の軒先で寝ている子供たちを警察が襲った。
この襲撃で8人の子供たちが殺され。サンドロも殺されかけたが、なんとか逃げ延びた。

彼はこのあと、橋の下に身を潜め暮らし始める。

サンドロ・ロサ・ド・ナシメントは、1979年、ブラジルのファベーラと呼ばれるスラムで生まれた。
ギャングの抗争や警察の襲撃はファベーラでは当たり前の出来事だった。
サンドロの父親は、彼がまだ母親のおなかの中にいる時何者かに殺され、サンドロは母親と妹と3人で暮らしていた。
彼のことを何よりも大切に愛し育ててくれていたその母を、彼は6歳の時に亡くしている。
サンドロの目の前でナイフを突き立てられ、死んでいった。殺人だった。
このあと彼はおばさんの家に引き取られ暮らし始めるが、母の死を受け入れられず、しばらくの後、ひっそりと姿を消した。

カンデラリア教会の虐殺を生き延び、橋の下で暮らし始めたサンドロは、そこでたくさんの子供を抱えた女性に出会う。
彼は、この家族のために強盗を働き、その金で家を買い、プレゼントする。その女性から、「一緒に暮らしましょう。」と言われるが、サンドロはまた姿を消してしまう。

そして少年刑務所を何度も出たり入ったりしたのち、彼は真っ当に生きていくことを決意する。
カンデラリア教会の路上で暮らしていた頃に世話になったソーシャルワーカーのイヴォンヌおばさんに相談し、仕事を探し始めた。
しかしいくら仕事を探しても、小学校も出ておらず、読み書きもできないサンドロを雇ってくれるところはどこにもなく、失意の中イヴォンヌおばさんのところに戻ってくる。
そこでサンドロは、「読み書きもできない僕に仕事なんかできる訳ないよ。僕がバカだったね。何か仕事について真っ当な道に戻ろうって思うなんて。」と話し、励ますイヴォンヌの言葉もサンドロには届かなかった。

そして最後に彼が起こした事件が、2000年6月12日のバスジャックだった。

2006年6月11日日曜日

Ben Harper

Ben Harper.

僕の最も敬愛するミュージシャンです。
その彼のライブに、生まれてはじめて行ってきました。

僕の目の前でベンは演奏していました。その距離、3メートル。
緊張感、情熱、息づかい、すべてが目の前で、とても密度の濃い素晴らしいライブでした。

僕がベン・ハーパーをはじめて聞いたのは、今から8年前、僕が二十歳の時でした。
はじめは、The three of usというスライドギターのインストゥルメンタルの曲を聞き、「なんて美しい曲なんだ」、とひきこまれたのがきっかけでした。
それから、アメリカ留学中、ベン・ハーパーの詩が理解できるようになり、自然と彼の詩の世界に引き込まれていきました。本当の意味でのベンの曲、思いが理解できるようになったのはこの頃です。
その中で忘れられない曲には、Walk Away, Like a King, Forever, I'll rise などがあります。

今回の新曲の中で忘れられない詩は、Better Way.

Reality is sharp. It cuts at me like a knife. Everyone I know is in the fight of their life.
You have a right to your dream. and don't be denied.
I believe in a better way.
(現実は鋭いナイフのように僕を切りつける。それでも、僕が知っている人は皆それぞれの戦いを戦っている。人は自分の夢を持つ権利を持っていて、それは否定されることはない。僕は、もっといい世界があるって信じている。)

今日の会場、Studio Coastのある新木場に着くと、駅の前できょろきょろしている白人のおばさんがいました。Ben Harperと書いてあるTシャツを着ていたので、"Ben Harper? Let's go!"と言って、一緒に会場まで行きました。その道すがら、どこから来たの?と聞くと"California"と言うので、「あぁそう、ベン・ハーパーの故郷だね」っていうと、「そう。彼の息子を教えていたの。」との答え。「教える?」と聞き返すと、「小学校でね、私のクラスに彼の息子がいたの。」というので、「え~~~!!!」ってな感じで、いろいろお話を聞くと、「彼はとてもいい人よ。心が優しくて、感じがよくて。とても素敵な人。一度、クラスのみんなでキャンプに行ったんだけど、ベンも来て、With my own two handsを歌ってくれたわ。」と彼の人となりを垣間見れるエピソードを教えてくれました。

ライブが終わってから彼女がバックステージパスをくれたのですが、何かの手違いで、このパスだけでは入れませんと、入れてくれませんでした。でも、「これから青山のLas Chicasでうちあげやるよ。」と教えてくれたので、大舘ごくつぶしジョニー哲太と二人で青山に向かいました。

まるでストーカーのように、Las Chicasでコロナを飲みながら待っていたのですが、なかなか来ないので、「もう帰ろうか」と店を出たところ、マイクロバスが一台やってきました。「この車だけ見てこっか。」と言い、よく見ると車内にベンさん!
お~~~!!!と思い、車に近寄っていくと、屈強なマネージャーらしきおじさんから、
「Get this motherfucker outta here」とか言われ、それでもめげずに、車から降りてきたところに、話しかけました。
「Thank you so much for tonight!」すると、優しい笑顔で、「oh, thank YOU」と返してくれました。
そこで、彼の息子の先生に会った話などをすると、「え~~!本当に?アンディ来てたの~!?」とか言って、スタッフの手違いで彼女に会えなかったことをしきりに残念がっていました。
もう単なるミーハー、もしくはストーカーと化している僕にとても優しく接してくれ、ベン・ハーパーは本当に普通の人でした。

今日の昼間、家で彼の歌を聴いているときに、ちょうど思っていたんです。「こんなに素敵な歌を歌ってるけど、本人が全くこの歌に矛盾するような人だったらどうしよう。でも、こんな歌はフィクションでは歌えない。きっとベン・ハーパーは人としても素敵な人だ。いや、そうじゃないとこの歌はみんな嘘だ。」って。
それなので、ベンの息子の先生、アンディさんの話や、Las Chicasでのベンとのちょっとした会話を通してベン・ハーパーの素顔を垣間見れたことは、僕にとっては、ライブを見れたことより素敵なことでした。

最後に、サインをもらって、写真も一緒に撮らしてもらった! もうただのミーハーやね、これ。

Thank you so much, Ben!!! We love you very, very, very much!!!!