2007年5月20日日曜日

Lovers

降りしきる雨の中、ふと窓の外を見ると、濡れそぼった二羽の鳩がぴったりと身を寄せ合い電線に止まっていた。雨に打たれるのをじっと我慢して、身じろぎ一つしない。

しばらくして雨は上がり、日がさしてきた。窓の外を見ると二羽の鳩は向かいのアパートの屋根の上に降りていた。また身を寄せ合い、今度はまるでキスをするように優しく口ばしをつつきあっている
雨が上がるのを身を寄せ合いじっと耐えながら待っていた二羽の鳩は、雨上がりの暖かい日の光の下、それを喜ぶように、今度はまるでダンスを踊っているようだった。

ふとニジェールの鶏と卵のことを思い出した。ニジェールでは卵はとても高価なもので、普通は手に入らない。鶏だってそんなにポンポン人間の都合のいいように卵を産むもんじゃない。
でも、それが雨の降った後は必ずどこでも卵が手に入った。彼女たちは、突然思い出したようにポンポン卵を産んだ。

雨の上がった5月の空の下、しきりにお互いの口ばしをつつきあう幸せそうな二羽の鳩を見ていたら、なぜだったのかがよく分かった。