「まだ始まってねえよ」
7日ぶりに東京に帰ってきたら、ぐっと涼しくなっていた。
まだ蝉の声は聞こえるけど、こうやって急速に夏が終わっていくんだろう。
哲ちゃんがくれた「ホンコンカボック」とかいう植物も枯れてしまった。って、ただ単に俺が水やりを忘れて家を空けたからなんだけど。ま、それでも20日間とか連続で家空ければねえ。
ま、とにかく、そうやって夏は終わっていくっていうことですよ。
先週は一週間、九州は熊本の阿蘇で行われていた、「あしなが高校奨学生のつどい」に行っていた。
ここでも、到着した20日の日には鳴いていた蝉たちの声が、週後半の24日くらいにはあからさまに秋の虫の声に変わっていた。
九州、沖縄の高校生たちは夢を語っていた。
海外の遺児たちのインターナショナルサマーキャンプと、この国内遺児のつどいの決定的に違うところは、日本の子ども達は、本人がその気になりさえすれば、その可能性を追求し、夢に挑戦することができるということだ。
今回のインターナショナルサマーキャンプに参加した海外の子ども達の何人かは、挑戦さえできない。
おととしの12月にアフリカのニジェールから帰国し、そのあとすぐ、1月に行われていたあしながインターナショナルウィンターキャンプであしながと出会い、そして職員となり、1年半あまりが過ぎた。
いろいろな人に出会い、本当にたくさんのことを学んだ。
僕は、そのあしなが育英会をあと4日で退職するけれども、僕がここで学んだこと、出会い、それはもちろんそれで終わるわけではない。
夏は終わってゆきますけれでも、
北野武のキッズリターン風に言いいますと、
「バカヤロオ、まだ始まってねえよ。」
ということですかね。
トッ!