2007年3月24日土曜日

風の強い夜には

今夜はずいぶん風が強い。
窓を開けると、風に運ばれて雨の匂いがする。もうすぐ雨になりそうだ。

僕が2年間暮らしたニジェールも、雨が降る前には必ず強い風が吹いた。強い風なんてもんじゃない。砂嵐だ。最初に少し水分を含んだ風が吹き始める。風が強くなるとともに空は徐々に暗くなる。大人たちは外に出て風の匂いを嗅ぐ。彼らは、その風が雨を運んでいるか、風だけなのか、匂いで分かる。気がつくともう数百メートル先に、赤茶色の大きな砂の柱が渦巻き、近づいている。そして、それはあっという間に村を飲み込む。大粒の雨を降らせることがほとんどだが、時折気まぐれに風だけの時もある。

一年の間に4ヶ月だけある雨期。8ヶ月の間、死の世界と化した大地に命を吹きかえらせる雨。その雨を運ぶ風。その風の匂いに一喜一憂する人々。

そんなことを思い出した。