成人式に寄せて
今日はあしなが育英会の学生たちの少し遅い成人式があった。
式の実行委員から「新成人たちに何か一曲歌ってほしい」という、僕としてもとても嬉しいリクエストを頂き、学生たちの手作りの成人式に出かけてきた。
それはそれは、とても素晴らしい成人式だった。
先輩たちのまったくの手作りで、今年二十歳になった後輩たちのために、郷里の母から、もしくは友人からの手紙を集め、それを一人一人に朗読するという式だった。
僕は何度も泣きそうになってしまった。
「お父さんはいつも、あなたが二十歳になって成人したら、振袖のあなたと『記念写真を撮って、一緒に酒を飲むんだ。』と言ってとても楽しみにしていました。今こうして二十歳になったあなたを見たらなんて言ったかな。」
「『お母さんが悲しむから、お母さんの前では絶対泣くなよ』と、お父さんが亡くなった頃お兄ちゃんに言われたと妹が最近になって言っていました。そんなあなたにお母さんがどれだけ支えられたか分かりません。」
「お母さんは、こうしてあなたが二十歳になるまで生きられ、あなたの晴れ姿を見られたことをとても嬉しく思います。今まで私たちはたくさん苦労してきました。こうしてあなたが大学まで行けたことをとても誇りに思います。でもあなたはまだ山を登っている途中に過ぎません。これからも多くの苦難、試練があるでしょう。でも決してあきらめず、あなたにはその山を登る責任があることを忘れないでください。多くの人があなたを応援してくれています。そして、その山の頂には甘い果実が待っているのですから。」
時には自暴自棄になりながらも、様々な人に支えられ、悲しみ、苦しみを乗り越え、こうして二十歳という一つの節目を迎えられた新成人たちの顔には「感謝」、成人を迎えられたという「喜び」の凛々しい表情が浮かんでいた。
式の間、僕はまた、この前のライブのメッセージにも書いたアニ・ディフランコの
“The deeper your sadness, the deeper the beauty”
という言葉を思い出していた。
この言葉は日本語にすると、「あなたの悲しみが深いほど、美しさも深い」だ。
だから、二つの意味があると思う。つまり、
「あなたの悲しみが深いほど、あなたは美しい」と、
「あなたの悲しみが深いほど、周りのもの(者、物)はより美しく見える」だ。
今日のみんなの顔は本当に美しかった。
ちなみにそんな彼らに僕が贈った歌は、「果てしない旅」。
果てしなく続くこの道の 先に何があるなんて
僕は知らない それでもただ歩き続ける
そしていつか 君と話した約束の場所にたどり着けばいい
それまでは この時を忘れないでいて
もう嘘はつけないこれ以上 臆病な自分を捨てて
どんな困難だってきっと乗り越えられると信じて
長い旅になるだろう それは分かってる でも今行かなければ
後ろを振り返ることもある 立ち止まったっていい
でももう戻れない 僕らは
「歩き続けて 疲れ果て一歩も先に進めない そんな時は ただそこで休めばいいさ」
そんなことを昔君は言っていたね そんな君に何度も救われて
こうしてここまで来たんだ
君と見たあの夜の星空を 僕は決して忘れはしない
君と話したあの夜のことを僕は果たすよ
君に話したいことが 見せたいものが たくさんあるのに
けれども僕は決して 君を忘れはしないそして
僕の旅は続く これから
新成人のみんな、本当に心からおめでとう。
2007年2月25日
PS.今日の模様は、毎日新聞社会部の萩尾信也編集委員の執筆する「人のぬくもり」に、明日か来週の月曜日に掲載されるそうです。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/nukumori/index.html
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