2007年6月18日月曜日

コーヒー一杯300円の影で

「Black Gold」
コーヒーは今や世界市場において、石油についで2番目に大きな市場規模を誇る商品だそうだ。

コーヒー産業は急速な成長を遂げ、1990年には3兆6千億円だった市場規模は今ではその3倍近い、9兆6千億円。
ふと、「コーヒーはなんでこんなに安いんだろう」と思うことがあった。
生産者は確実にアフリカなどの途上国の人だと気づきながらも、「でも安いからまいっか。」とそれ以上は深く考えたことはなかった。

コーヒー発祥の地、モカの産地として有名なアフリカのエチオピア。
そのエチオピアでは1キロのコーヒー豆に対して農家の人たちが受け取っている額は12円だった。
1キロのコーヒー豆からは約80杯のコーヒーが入れられるらしい。
そうするとスタバとかでは1杯大体300円だから、コーヒー屋は1キロのコーヒー豆から1杯300円×80杯=24,000円を売り上げていることになる。
そしてエチオピアのコーヒー農家に支払われている額はその2000分の1。

ちなみにスターバックスのホームページに行ってみたら、スターバックスでは良心的に国際市場価格より23%高い価格で仕入れ、1キロ当たり約338円払っているそうだ。(逆算すると国際市場価格は約274円)そうするとスターバックスのコーヒー一杯の原価は約4円。

この巨額な利益を上げるコーヒー産業はスターバックス、ネスレ、クラフト、P&G、サラ・リーの5社が支配しているそうだ。国際取引価格は全てニューヨークとロンドンの商品取引所で決定され、それにもとづいて途上国の末端仕入れ価格も決まるらしい。
この5社に支配され、15年で3倍、9兆6千億円という市場規模に成長した影で、エチオピアなどのコーヒー農家が受け取る額は下落を続け、2001年には史上最安値を記録し、彼らの受け取る額は1960年の3分の1の水準になったそうだ。

エチオピアの農家ではコーヒー価格の下落により今では生活が成り立たず、食料を買う事すら出来ず農家の子ども達が栄養失調になり、国際機関の緊急援助でなんとか生き延びているという状態だった。

「なんでこんなに安いんだろ」と疑問に感じながらも、それ以上深く考えずにただ「安い」という理由で大手コーヒー会社のコーヒーを買っていた僕は、自分の購買行為の引き起こす結果の重大さに愕然とした。
先進国の日本に暮らし、モノに囲まれた豊かな暮らしを享受している僕には常に注意を払って生活をする義務があることを思い知った。途上国の人が生産した農産物や製品の恩恵を受けながら暮らしている以上、いつ自分が気づかないうちに遠くの誰かを苦しめているか分からない。

幸い、近所のスーパーにフェアトレードのコーヒーが置いてあるのを見つけ、今はそれを購入している。

Black Goldホームページ
http://www.blackgoldmovie.com/